2024年12月5日に、 一般社団法人CDO Club Japanは、2017年より15回目となる「CDO Summit Tokyo 2024 Winter」を開催した。
また前日の12月4日に、最高AI責任者のカンファレンスとなる第2回目の「CAIO Summit Tokyo 2024 Winter」も同時開催した。
現在CDO Club の本国の米国では、生成AIをはじめとするAI技術の急速な進化に対応すべく、各省庁や企業でAIを中心にビジネスや成長戦略を描く取り組みが加速しており、その活動の中心となる新しい役割としてCAIO(最高AI責任者)の設置が進みつつある。
従来のDXとも融合した活動を進める役割として、 CDAIO(最高デジタル・データ・AI責任者)も出現しており、国家を挙げての重要な取り組みとなりつつある。
また、そのようなAIを中核とした変革の取り組みは、「指数関数的な変革(EX)=エクスポネンシャルトランスフォーメーション」と言われており、今後の世界はEXを実現した企業のみが独走的な成功を収めるといわれつつある。
今回のCDO Summit Tokyo 2024 Winterは、そのような欧米の動向に遅れをとることなく、日本企業がDXからEXへどのように発展していくべきか?を、CDO Club Japanのメンバーである主要CDOが集結して議論を実施した。
Day1 CAIO Summit Tokyo 2024 winterの概要
テーマ:AIの新しい世界観ビジョンとは?
開催日 2024年12月4日 14:30~19:00
Day1のCAIO Summit Tokyo 2024Winterでは、「AIの新しい世界観ビジョンとは?」をテーマに、既に国内でCAIOを設置している企業のCAIOや、CDOとしてCAIOの役割を兼務しているCDO Club JapanのCDOのメンバーが会場に集まり、混沌とする発展段階のAIに対して、AIがもたらす社会や企業の姿について「ビジョン・世界観」を議論し、AI導入に対する本質的な意味・価値を議論した。
オープニングスピーチ:CDO Club Japan 代表理事 加茂純
冒頭開会の挨拶として、CDO Club Japanの代表理事の加茂純より、米CDO ClubにおけるCAIOの活動を紹介し、米国におけるトランプ政権への移行に伴うAI政策の変更について言及した。
また、AIの普及と発達による変革の動きはDXからEX(エクスポネンシャルトランスフォーメーション、指数関数的変革)になる点を強調するとともに、
さらに今後のAIの発展は、AI主導のパーソナライゼーションや、APIエコノミーへの移行が進むとともに、多くの企業・産業がAIによって連携する社会の実現による日本の存在意義やプレゼンスを発揮できる可能性についても言及した。
米国のAIトレンドとCAIOの設置動向について:CDO Club Japan 理事・事務総長 水上 晃 メッセージ:David Mathison 米CDO Club CEO&創立者
続いて、「米国のAIトレンドとCAIOの設置動向」と題して、CDO Club Japanの理事・事務総長の水上晃より米CDO Club CEO&創立者であるDavid Mathisonからメッセージの解説があった。
David Mathisonからは、トランプ政権へ移行する中で起こる米国におけるAI政策の動向やそれによって起こる経済的影響についてメッセージがあった。また、CDO Club Japanの理事・事務総長の水上晃からは米国CDO Clubで行われたCAIO Summitの概要や米国で設置されつつあるCAIOの役割について解説が行われた。
PAI(パーソナルAI)によるAI技術の進化と日本企業の可能性:
橋田浩一 理化学研究所 革新知能統合研究センター
特別対談として、理化学研究所革新知能統合研究センターの橋田浩一先生より、「PAI(パーソナルAI)によるAI技術の進化と日本企業の可能性」と題して講演をいただいた。
講演では、個人に寄り添い、信頼性と利便性を支える「パーソナルAI」にその主役が変わっていくことが予想されることが解説されるとともに、具体的なPAIの活用例やAIにおける国際標準化の動向について解説があった。
また後半では、当団体の代表の加茂純と、日本ではAIの活用分野をどのように拡大させつつ、グローバルにて新たな競争優位を気づくことが可能になるか?について、PAIの普及によって変革するデジタル社会や、今後の可能性について対談形式で議論を実施した。
~AI責任者としてAIをどう企業変革に適用させていくべきか?~
CAIO(最高AI責任者)とCDO(最高デジタル・データ責任者)によるビジネスパネルセッション
CDO Club Japanに参画するCAIO並びにCDOが参加するビジネスパネルセッションでは、混沌とするAIの技術環境の変化に対して、企業におけるAIの責任者としてどう行動していくべきか?について、CDO Club Japanに参画するCDOならびにAIの責任者が一堂に集まり議論を行った。
今回のサミットでは、AIが起こす今後の社会環境の変化に対してビジネスリーダーの視点から今後の方向性を以下の視点で議論した。
・AIの取り組みを踏まえた可能性と限界点
・AIに対する機会と脅威(社会・経営・サービス・ビジネスプロセス)
・将来の日本社会を見据え、AIにどう向き合うべきか?
ビジネスパネルセッションでは、それぞれの立場で現在どのような形でAIと向き合っているか、AIを効果的に機能させるために重視していくべき点について活発な議論が行われた。
当日参加いただいたCAIO(最高AI責任者)CDO(最高デジタル・データ責任者)の方々
・磯和 啓雄 氏(株式会社三井住友フィナンシャルグループ)
・原田 典明 氏(旭化成株式会社)
・板橋 祐一 氏(ロート製薬株式会社)
・樋口 正也 氏(ロート製薬株式会社)
・比戸 将平 氏(ダイキン工業株式会社)
・中山 雄大 氏(イオン株式会社)
・橋本 勝 氏(プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン株式会社)
・藤澤 陽介 氏(住友生命保険相互会社)
・永盛 達也 氏(資生堂インタラクティブビューティー株式会社)
・柴田 英樹 氏(三菱自動車工業株式会社)
・谷川 圭史 氏(日揮ホールディングス株式会社)
最先端のAI技術を有するテクノロジー企業の各種講演の実施
上記のビジネスパネルセッション以外でも、CAIOのカンファレンスにふさわしいAIの最先端技術を有するテクノロジー企業からもAI技術に対する解説の講演があった。
当日講演およびテクノロジーセッションにご参加いただいいたテクノロジー企業と講演者
・株式会社ナレッジワーク 谷口 大地氏
・パロアルトネットワークス株式会社 和田 一寿氏
・株式会社Recursive 若林 峻 氏
・キャディ株式会社 今井 武晃 氏
・株式会社PKSHA Technology 森田 航二郎 氏
なかでも、AI技術を中心とした論点を議論するために「テクノロジーセッション:~AI技術の活用における課題とDXにおける要点とは?~」と題して、当団体の事務総長の水上をモデレータとして、Recursive若林 峻 氏、キャディ今井 武晃ならびにPKSHA Technology 森田 航二郎 氏をパネラーとしたパネル討議を実施した。本パネルでは、AI技術を企業が導入する際の留意点やAI技術の今後の活用可能性について議論を実施した。
Day2 CDO Summit Tokyo 2024 Winterの概要
テーマ: EXに向かう、真の課題とブレークスルー!!
開催日 2024年12月5日 10:30〜18:30
2日目のCDO Summit Tokyo 2024 Winterでは、「EXに向かう、真の課題とブレークスルー!!」を主題に、CDO Club JapanのCDOのメンバーが会場に集まり議論を実施した。
現在CDO Club の本国の米国では、生成AIをはじめとするAI技術の急速な進化に対応すべく、各省庁や企業でAIを中心にビジネスや成長戦略を描く取り組みが加速しており、そのAIを中心とした新しい変革の取り組みはEX「指数関数的な変革(EX)=エクスポネンシャルトランスフォーメーション」と言われており、今後の世界はEXを実現した企業のみが独走的な成功を収めるといわれつつある。
そのような欧米の動向に遅れをとることなく、DXからEXに変革の取り組みを進化させるには日本企業がどのように取り組んでいくべきか?を議論した。
オープニングスピーチ:CDO Club Japan 代表理事 加茂純
冒頭開会の挨拶として、CDO Club Japanの代表理事の加茂純より、現在の国際関係の状況から日本は従来の二国間型から今後はグローバルサウスも含めて多国間と経済・外交でコミュニケーションをとっていくことの必要性について言及した。また、ビジネスもAIを中心とした「AI inside×APIエコノミー」のモデルにしていくことが必要であると言及した。
このような変革をドライブするCDOやCAIOは、今後将来発生する世界のリスクをAI/デジタル技術を活用して解決する変革リーダーとして行動することの重要性について述べた。
特別基調講演 AI本格到来時代において日本社会・企業が目指すべき道筋とは?
:平井 卓也 衆議院議員
続いて、初代デジタル大臣であり衆議院議員である平井卓也議員より「AI・デジタル社会にて、「信頼ある国、日本AI本格到来時代において日本社会・企業が目指すべき道筋とは?」と題して当団体の代表の加茂との対談が実施された。
世界的に加速するAIの技術進化において、法的整備の重要性や企業・民間の利用普及への努力など国際的に競争や変化が高まる中、多くの活動に対して足踏みすることなく挑戦的に取り組む姿勢の重要性について、平井議員からは言及された。
また、今後のAIの発展に対して国家として取り組むべき活動や、今後の世界におけるAI普及における日本の役割の重要性について対談を行った。
DXからEXへ指数関数的な変革を生み出す組織とは?
国内の主要企業のCDO(最高デジタル・データ責任者)が集結したCDO Roundtableによる議論
その後CDO Club Japanに参画するCDOが参加するCDO Roundtableでは、急速に進化するAI技術に対してどのように従来のDXをアップデートしてEXへ進化させていくべきかについて、一堂に集まり以下の視点で議論を実施した。
・DXを取り巻く環境とDXの歩留まりへの葛藤(ブレイクスルーの必要性とは?)
・AIの出現によって生じるDXの変化とビジネス環境への影響
・指数関数的な変革を生み出す組織とは?日本がEXに向かうには?
CDOが現在企業で取り組む中で生じている課題を共有するだけでなく、業界の壁を壊し新しい産業構造、新しいビジネスモデルを生み出す活動を展開することで、デジタルリーダーが取り組む今後の活動の方向性について活発な議論が行われた。
当日議論に参加いただいたCDO(最高デジタル・データ責任者)の方々
・伊勢 勝巳 氏(東日本旅客鉄道株式会社)
・三瓶 雅夫 氏(三井化学株式会社)
・香田 隆之 氏(味の素株式会社)
・磯和 啓雄 氏 (株式会社三井住友フィナンシャルグループ)
・安田 裕司 氏(三菱UFJニコス株式会社)
・生田目 雅史 氏(東京海上ホールディングス株式会社)
・奥山 博史 氏(ヤンマーホールディングス株式会社)
・植田 博昭 氏(ダイキン工業株式会社)
・汐満 達 氏(住友生命保険相互会社)
・成田 敏博 氏(日清食品ホールディングス株式会社)
・西畑 智博 氏(株式会社JALカード)
・樋口 正也 氏(ロート製薬株式会社)
・車 真佐夫 氏(三菱自動車工業株式会社)
・濵野 努 氏(スターバックス コーヒー ジャパン)
・榎本 英二 氏(野村不動産ホールディングス株式会社)
・坂 健司 氏 (株式会社トクヤマ)
・水野 誠 氏(栗田工業株式会社)
・高野 健一 氏(株式会社朝日新聞社)
・板橋 祐一 氏(ロート製薬株式会社)
また今回はCDO Club Japan に参加してCDOとして活躍してきたCDO経験者も登壇者としてお迎えして、「日本のDXの未来と次世代を担うべき人材を育成するには!」と題して、DXに対する本質的な目的から照らして、次のEXへ向かうことの重要性や論点の議論を実施した。
当日議論に参加いただいたCDO経験者の方々
・三枝 幸夫 氏(クールスプリング・元出光興産・ブリヂストンCDO)
・米谷 佳夫 氏(三井物産株式会社 元同社CDO)
・岩野 和生 氏(元三菱ケミカルホールディングスCDO)
最先端のデジタル技術を有するテクノロジー企業の各種講演の実施
CDO Roundtableの他、従来のITソリューションだけでなく、DXを加速する最新技術として「モダンIT」として分類される先進的な技術を持つ多くの企業の方より「最新のデジタル技術の活用事例」や「デジタルテクノロジーの導入アプローチ」、「デジタル人材採用」に関しての講演があった。
当日講演いただいいたデジタルテクノロジー企業と講演者
・株式会社セールスフォース・ジャパン 中谷 卓洋氏
・dotData.inc 藤巻 遼平氏
・クリックテック・ジャパン株式会社 槙野 匡昭氏
・Wovn Technologies株式会社 染谷 征良氏
・株式会社ジール 瀧澤 祐樹氏
・Miletos株式会社社 高橋 康文氏
・think-cell Japan株式会社 平野 巨樹氏
「Japan CDO of The Year 2024」三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄 氏に決定
最後に、今年最も輝かしい活動をしたCDOに対して贈られるJapan CDO of the year 2024の発表が同日行われた。
本年は、株式会社三井住友フィナンシャルグループ執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄 氏に決定され、昨年受賞した三井化学株式会社 三瓶 雅夫氏より受賞トロフィーの授与が行われた。
今後もCDO Club Japanは、グローバルにて幸福な社会を築くために、米CDO Clubと連携して、全世界のCDOとともに、企業・政府自治体、社会全体のDXを推進し、グローバルの中での日本全体のDXの価値向上に貢献をいたします。