CDO Summit Tokyo 2025 Winter 開催レポート ― 人とAIが共奏する社会・組織の未来を問う2日間 ―

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一般社団法人CDO Club Japanは、2025年12月10日・11日の2日間にわたり、「CAIO Summit Tokyo 2025 Winter」および「CDO Summit Tokyo 2025 Winter」を開催した。

AIエージェントの実用化が進み、AIが経営・業務・意思決定に本格的に組み込まれ始めた2025年。本サミットは、DXの次のフェーズとして「人とAIが共奏する社会・組織の未来」を多角的に議論する場として実施された。

【開催概要】

名称: CDO / CAIO Summit Tokyo 2025 Winter
日程:  2025年12月10日(水):第4回 CAIO Summit Tokyo 2025 Winter
2025年12月11日(木):第17回 CDO Summit Tokyo 2025 Winter
主催: 一般社団法人CDO Club Japan
メインテーマ: 「共奏 -AI-human symphony-」
コンセプト: 人とAIが共奏する社会・組織の未来とは? ~AI・データ・技術・人が織りなす次世代の社会・経済・組織を考える~

DXからHX(Harmonized Transformation)へ
― リアルとデジタルが共奏する経営モデルの探求 ―

本サミットでは、これまでの「デジタル変革(DX)」の枠組みを超え、「リアル×デジタルの共奏経営(HX=Harmonized Transformation)」を中核に据えた議論を展開した。

生成AIやAIエージェントが経営判断や業務遂行に深く関与する現代において、企業は「AIを導入する」段階から「AIと共に経営する」段階へと進化した。テクノロジーはもはや単なる「道具」ではない。人間と共に考え、創り、行動する「パートナー」へと変貌を遂げた。

AI、ロボティクス、IoT、データがデジタルとリアルの境界を超えて結びつく今、日本企業が培ってきた「ものづくり」や「現場力」、そして「人」を中心に据えた経営思想を通じて、世界に新しいテクノロジー社会のモデル(調和:WA)を示す重要性を再確認した。

今回のCDO Summit Tokyo 2025 Winterでは、国内のDX先進企業のCAIO(最高AI責任者)およびCDO(最高デジタル責任者)が集結した。2025年に大きく進展したAI技術への対応とDXの取り組みを総括。さらに、経営・産業・文化・社会のあらゆる領域における、AIと人間が共奏するビジネスモデル、業務プロセス、倫理、ガバナンス、そして人の役割の変化について、その方向性を議論した。

 

Day1|CAIO Summit Tokyo 2025 Winter 概要
テーマ:AI Intelligence ─ AIエージェントの出現によって変化する組織と経営を考える

開催日 2025年12月10日 14:00~19:00

― AIは単なる道具か、それとも新たな労働資源となるのか
急速に発達するAI技術の現状と、今後のAIと組織の在り方を議論 ―

生成AIからAIエージェント、RAG、そして自律型システムへ──。 AIは今、単なる「支援ツール」から、意思決定と創造の共演者へと進化した。経営の現場では、AIが知識を集約し、文脈を理解し、意思を示す。この新しいインテリジェンスをいかに企業の力へと変えるか。そのグランドデザインを描くことこそが、CAIO(最高AI責任者)の使命である。

Day1の「CAIO Summit 2025 Winter」では、国内主要企業のCAIOおよびCDOが登壇。
今年急速に発達したAIエージェントやRAGを中心とする、次世代AI実装の先進事例を総括した。さらに、今後のAI技術の発達に伴い浮上する経営、ガバナンス、倫理、人材育成のアジェンダを体系的に議論。日本のAI活用が向かうべき明確な指針を提示した。

 

オープニングスピーチ:CDO Club Japan 代表理事 加茂純

冒頭開会の挨拶として、CDO Club Japanの代表理事の加茂純より、人口減少が進む日本で、ヒト型AIロボットは社会を維持する「光」となりえる可能性を述べた。

10人の仕事を5人とロボットで分担する「共奏モデル」により、持続可能な社会と新産業を創出することが可能になる点と、その実現のためには、日本の強みである高品質なリアル学習データの活用が鍵であることに言及した。

また、AIの普及と発達による変革の動きを推進するためには、CAIO(最高AI責任者)やCDO(最高デジタル責任者)が人間中心の設計を主導する重要性を強調した。

 

AI時代、人間の力を問い直す!― テクノロジーと倫理・デザイン・人間の新境界 ―

メディア美学者・武邑光裕氏 × CDO Club Japan代表・加茂氏が語る
「AIと共に生きる社会と組織の未来」

特別対談として、メディア美学者・武邑光裕氏をお迎えして、「AIと共に生きる社会と組織の未来」について講演をいただいた。

武邑氏は、メディア論・テクノロジー倫理・デジタル文化を専門とし、日本大学芸術学部、京都造形芸術大学、東京大学大学院、札幌市立大学などで教授職を歴任。デジタル時代の倫理と人間性をテーマに国際的な議論をリードしており、その経験を踏まえて、日本のデジタル利用率の状況とリアルの環境が充実している日本におけるデジタルとリアルの特殊な関係について解説された。

また後半では、当団体の代表の加茂純と、“人間中心のAI社会をどうデザインするか”という点について、日本固有のロボットへの思想感や、社会のAIの受容性などの視点から今後の可能性について対談形式で議論を実施した。

 

米国のAIトレンドとCAIOの設置動向について: CDO Club Japan 理事・事務総長 水上 晃

続いて、「米国のAIトレンドとCAIOの設置動向」と題して、CDO Club Japanの理事・事務総長の水上晃より2025年の生成AIならびにAIエージェントの技術の進化の動向を振り返り、今後のAI技術の進化の動向予測を説明した。また、海外のCAIOの役割の変化を説明するとともに、国内においてはCDO Club Japanが独自に調査した「CAIOの設置状況ならびにAIの活用動向」の結果を踏まえ、今後の日本におけるAIとDXにおけるデジタルリーダーの役割の方向性について解説を実施した。

〜AIエージェントの出現によって変化する組織と経営を考える~
CAIO(最高AI責任者)とCDO(最高デジタル・データ責任者)によるビジネスパネルセッション

CDO Club Japanに参画するCAIO並びにCDOが参加するビジネスパネルセッションでは、昨今急速に発達するAI技術は生成AIだけでなく、AIエージェントに発達していく中で、AIは人と共に考え、動き、成果を生み出す“共奏するパートナー”へと急速に進化しようとしています。

一方で、多くの企業では導入が部分最適にとどまり、AIを前提とした組織・人のあり方は、まだ道半ばと言える環境の中、いま日本企業がどこまでAIを活用できているのか、そして人・AI・組織がどう共奏していくべきかの転換点にある核心を、CDO/CAIOの視点から議論を展開した。

 

2025のAIの現時点 ~DXにおけるAIの位置づけ・導入状況は2025年どう変わったか?
AI進化の機会と脅威~期待と課題 ~次々と進化するAI技術に対して感じる可能性と企業内におけるGAPの溝にどう向き合うか?
デジタルリーダーやビジネスパーソンが大事にするべきことは? 〜AIの進化に対してビジネスパーソン自体の行動変容をどう促すか?

 

本セッションには、金融・製造・サービスなど多様な業界から、AIおよびDXを牽引するCAIOおよびCDOが参加した。

当日参加いただいたCAIO(最高AI責任者)CDO(最高デジタル・データ責任者)の方々

・磯和 啓雄 氏(株式会社三井住友フィナンシャルグループ)
・池田 和矢 氏(株式会社三井住友フィナンシャルグループ)
・植田 博昭 氏(ダイキン工業株式会社)
・渡邉 英右 氏(株式会社Mizkan Holdings)
・矢吹 哲朗 氏(東洋紡株式会社)
・橋本 勝 氏(プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン株式会社)
・水野 誠 氏(栗田工業株式会社)
・坂 健司 氏(株式会社トクヤマ)
・榎本 英二 氏(野村不動産ホールディングス株式会社)
・松沼 雄祐 氏(株式会社GENDA)
・中川 邦昭 氏(住友生命保険相互会社)

最先端のAI技術を有するテクノロジー企業の各種講演の実施

上記のビジネスパネルセッション以外でも、CAIOのカンファレンスにふさわしいAIの最先端技術を有するテクノロジー企業からもAI技術に対する解説の講演があった。

当日講演およびテクノロジーセッションにご参加いただいいたテクノロジー企業と講演者

・キナクシス・ジャパン株式会社 杉山 勲 氏
・デル・テクノロジーズ株式会社 藤森 綾子氏
・パロアルトネットワークス株式会社 染谷 征良氏
・株式会社PKSHA Technology 山本 健介 氏
・株式会社ジール 廻船 孝行 氏
・Glean 辻村芳浩 氏

なかでも、AI技術を中心とした論点を議論するために「テクノロジーセッション:~生成AIからAIエージェントへ~次の技術動向を考える」と題して、当団体の事務総長の水上をモデレータとして、PKSHA 山本 健介 氏、ジール 廻船 孝行 氏ならびにGlean 辻村芳浩 氏をパネラーとしたパネル討議を実施した。本パネルでは、生成AI以降急速に発達AIエージェント技術の実態と、企業がAIエージェントを導入する際の留意点等について議論を実施した。

 

Day2|CDO Summit Tokyo 2025 Winter 概要
テーマ: 共奏 -AI-human symphony-人とAIが共奏する社会・組織の未来とは?
日本固有の発想Harmonizedを次の競争力へ 〜AI・データ・技術・人が織りなす次世代の社会・経済・組織を考える〜

開催日 2025年12月11日 10:30〜18:30

2日目のCDO Summit Tokyo 2025 Winterでは、CDO Club Japanのメンバーが一堂に会し、「AI-Human symphony-人とAIが共奏する社会・組織の未来とは?」をテーマに議論が交わされた。

生成AIだけでなくAIエージェントなどの技術の発達の先には、AI、ロボティクス、IoT、ハードウェア、データが連携し、デジタルとリアルの境界を超えて結びつく時代になっていくことが予想される。

こうした技術革新の潮流において、世界がAIによる「Disruption(破壊)」の優劣を競うなか、日本は異なるアプローチ、破壊ではなく「共生」、効率ではなく「共感」、そして競争ではなく「共奏」という、デジタルとリアルが協調する「調和」の思想をベースとしてデジタルの進化の可能性が想定できる。

このような、日本が世界に提唱すべき「境界なき共奏社会」の意義について、技術と人間が調和しながら未来をデザインする、新たな経営と社会の在り方を先進企業のCDOらと共に深く考察した。

オープニングスピーチ:CDO Club Japan 代表理事 加茂純

冒頭開会の挨拶として、CDO Club Japanの代表理事の加茂純より、AI技術の進化は、人・データ・プロセス・技術がひとつの流れ、融合する時代へと突入している点について言及した。また、AI&DXはシステム導入ではなく、社会の“構造デザイン”へと軸を移している点にも触れ、そのような“社会全体の調和”をデザインする新しい社会のオーケストレーターとしてCDOが担う役割は進化していく可能性を述べた。

特別基調講演
Human-AI共奏社会によって社会は新たなステージへ次の10年をどう生き抜く“新しい日本社会の姿”とは?
:平井 卓也 衆議院議員

続いて、初代デジタル大臣であり衆議院議員である平井卓也議員より「Human-AI共奏社会によって社会は新たなステージへ次の10年をどう生き抜く“新しい日本社会の姿”とは?」と題して当団体の代表の加茂との対談が実施された。

世界的に加速するAIの技術進化をインターネットの発達時期における日本社会の対応と比較し、日本はインフラ面は十分な整備がされたが、ソフト面やビジネス面について遅れをとった過去の反省を活かし、ポストAI時代のリアル×デジタル時代においては、日本の現場力やリアルのデータの利用価値などの優位性を活かした成長戦略を描くことの重要性について、平井議員からは言及された。

また、加茂代表理事との対談では、今後のAIの発展に対して日本のプレゼンスを出すための方向性や、今後の世界におけるAI普及における日本の将来の可能性について対談を行った。

 

国内のAI・DXの先進企業のリーダーが2025年を総括し、2026年以降の展望を議論
― AI時代に再定義されるDX、そして人とAIの共奏へ ―CDO Roundtableによる議論

その後CDO Club Japanに参画するCDOが参加するCDO Roundtableでは、2025年で大きく動いたAIの技術への対応並びにDXの取り組みを総括するとともに、経営・産業・文化・社会のあらゆる領域で、人間とAIが共奏する社会・企業のビジネスモデル・業務プロセス・倫理、組織、ガバナンス・並びに人の役割の変化の方向性を議論した。

当日は、テーマ「共奏 - Human–AI Symphony -」のもと、生成AIとAIエージェントの進化が企業の経営・組織・産業構造に与えるインパクトを以下のテーマに沿って多角的に議論を実施した。

 

セッション1:2025DX-Update
〜生成AIとAIエージェントの進化はDXにどうインパクトをもたらしたか?~

セッション2:AIディスラプターとの新たな戦いの序章
〜既存産業をAIで再構築する新たな競争者の出現にどう備えるか?~

セッション3:AIと共奏する組織とは?
〜人×AI×データ×ハードウェアの相互連携による価値を持続的に生み出す企業の組織とは?~

 

CDOが現在企業で取り組む中で生じている課題を共有するだけでなく、AI技術の発展の先に求められる企業像やビジネス・プロセスならびに組織について、デジタルリーダーが取り組む今後の活動の方向性について活発な議論が行われた。

当日議論に参加いただいたCDO(最高デジタル・データ責任者)の方々

・楢崎 浩一 氏(SOMPOホールディングス株式会社)
・磯和 啓雄 氏(株式会社三井住友フィナンシャルグループ)
・三枝 幸夫 氏(クールスプリングス株式会社)
・上ノ山 信宏 氏(株式会社みずほフィナンシャルグループ)
・西畑 智博 氏(株式会社JALカード)
・汐満 達 氏(住友生命保険相互会社)
・奥山 博史 氏(ヤンマーホールディングス株式会社)
・樋口 正也 氏(ロート製薬株式会社)
・宇田 真也 氏(株式会社オリエントコーポレーション)
・水野 誠 氏(栗田工業株式会社)
・榎本 英二 氏(野村不動産ホールディングス株式会社)
・矢吹 哲朗 氏(東洋紡株式会社)
・坂 健司 氏(株式会社トクヤマ)
・渡邉 英右 氏(株式会社Mizkan Holdings)
・吉田 茂史 氏(CCIグループ)
・松沼 雄祐 氏(株式会社GENDA)
・亀山 満 氏(協和キリン株式会社)

 

最先端のデジタル技術を有するテクノロジー企業の各種講演の実施

2025年、AIとDXの技術は想像を超える速度で進化し、企業が「何を選び、どこから始めるべきか」を判断することは、ますます難しくなっている反面、AIエージェント、RAG、データ基盤、ガバナンスなどの論点に対して、深掘りする時間を確保することは現実的でなくなりつつある。そのような状況に対して、本サミットではAI・DXに関する主要企業が以下の視点で講演を実施した。

・AIエージェント × AIの民主化をどう実現するか?
「全社員がAIを使いこなす時代へ──NotionのAIエージェントで実現する“AIの民主化”」
・自律化の核心:データ × AIアーキテクチャを「AIエージェントの真価を引き出すデータの力
──業務自律化を実現する最新データ活用基盤戦略」
・今一番脅威としてとりくべき: 安全にAIを回すためのセキュリティ × ガバナンス
「AIイノベーションを止めないためのセキュリティ」
・投資を成果に変える:業務プロセス改革
「『導入実績』から『現場の実感』へ──DX・AI投資を成果に変える業務設計」
・スキル × 人材 × 現場力:変革を支える“人”の仕組み
「変化に強い組織をつくる人材起点のDX──スキルと学びで広げる変革の循環」

当日講演いただいいたデジタルテクノロジー企業と講演者

・株式会社セールスフォース・ジャパン 中谷 卓洋 氏
・Notion Labs Japan合同会社 生垣 侑依 氏
・ストックマーク株式会社 林 達 氏
・株式会社インターネットイニシアティブ 井上 高 氏
・コーナーストーン オンデマンド ジャパン株式会社 北郷 義浩 氏
・Sansan株式会社 鳴海 佑紀 氏

「Japan CDO of The Year 2025」
AIを軸に産業DXと顧客中心のデータ経営を牽引する2氏を選出

奥山 博史 氏(ヤンマーホールディングス株式会社 取締役 DX担当(CDO))
西畑 智博 氏(株式会社JALカード 代表取締役社長 CEO)

最後に、今年最も輝かしい活動をしたCDOに対して贈られるJapan CDO of The year 2025の発表が同日行われた。

本年はヤンマーホールディングス株式会社取締役CDOの奥山博史氏と、株式会社JALカード代表取締役社長CEOの西畑智博氏が選ばれ、昨年受賞した株式会社三井住友フィナンシャルグループ磯和 啓雄 氏より受賞トロフィーの授与が行われた。

CDO Club Japanは今後も、CDOおよびCAIOをはじめとするデジタルリーダーとともに、AI・データ・技術と人間が調和する社会の実現、実践知の共有と社会への発信を通じて、世界の安定と発展に寄与します。

そのため、米国CDO Clubをはじめとするグローバルネットワークとも連携し、日本発のDX・AIの思想と実装モデルを世界に示す活動を推進して行きます。

 

 

 

 

 

 

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