CDO Club Japan DX実態調査レポート: 2022年国内において「企業におけるDXの責任者」を設定する企業が46%に到達 CDO・CIOとして設置する企業は 11.5%に留まる ~DXの責任者が存在する企業の方がDXは加速する結果も確認された~

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報道関係各位
2023年3月7日

グローバルで DXに取り組む経営執行職である CDO(最高デジタル・データ責任者)のコミュニティを運営する CDO Club Japan は日本国内での DX の状況を把握するために、CDO Club Japanの会員ならびに一般の一部上場企業を対象に「CDO:最高デジタル責任者の設置状況ならびにDXの実施状況」に関する実態調査を実施しました。

※グローバルでみると、組織におけるDXの責任者はCDO(Chief Digital Officer)が担うのが標準的だ。ある程度DXが進んで、より具体的にデータ活用を重視する場合、同じCDOの3文字で省略されるChief Data Officerがその責任者を担うことがある。あるいは、従来からITに関する最高責任者であったCIO(Chief Information Officer)が、情報システムに加えてDXまでカバーすることも少なくない。日本ではそのケースが多いと思われる。このように正式な役職タイトルだけでDXの責任者を判断しにくいところがあることから、本調査ではそれらのタイトルにこだわらずにDXに関する組織の最高責任者を「企業におけるDXの責任者」と定義して記載している。

 

主な調査結果:総括

  1. 「企業におけるDXの責任者」が明確になっている企業が全体の46%
  2. CDO/CIOとして「企業におけるDXの責任者」を設置している企業は、11.5%
    企業におけるDXの責任者としてCDOを任命している企業が全体の約4.5%(Chief Digital Officerが2.7%、Chief Data Officerが1.8%)、CIO(Chief Information Officer)がDXの責任者を兼任している企業が全体の約7%
  3. 「企業におけるDXの責任者」がいる方が外向きの価値創造に注力される傾向にある
  4. 「企業におけるDXの責任者」がいる企業の方が組織的連携やガバナンスが整備される傾向にある
  5.  「企業におけるDXの責任者」がいる企業の中でも、特にCDO(最高デジタル責任者)がいる企業の方がDXに対する活動成果が高まる傾向にある

 

調査概要

調査期間:2022年7月~11月
調査方法:調査票(アンケート)送付による調査ならびに個別のコールセンター調査
調査対象:CDO Club Japan 会員ならびに一部上場企業のDX 担当部署(有効回答数:調査票送付による調査135、コールセンター調査110)

※本調査内容の作成・結果考察にあたり、DXの取り組みに先進的に取り組む CDO Club Japanに参加するCDOに対して個別インタビュー調査を行い、DXの取り組みや論点について考察した。

 

調査結果詳細

1.「企業におけるDXの責任者」が明確になっている企業が全体の46%

大手企業で企業におけるDXの責任者が決まっている企業は全体の46%である。タイトルにこだわらなければ、誰がDXの責任者かが決まっている企業は、約半数の割合に達成しており、国内の主要企業でDXが一定の割合で認識され実行段階に入っていることが調査の結果明らかになった。

 

2.CDO・CIOとして「企業におけるDXの責任者」を設置している企業は、11.5%

グローバルでは企業におけるDXの責任者に対してはCDO(Chief Digital/Data Officer)というタイトルを付与するのが標準的であるが、それは全体の4.5%(Chief Digital Officer が2.7%、Chief Data Officerが1.8%)となっている。

またCIO(Chief Information Officer)が企業におけるDXの責任者を兼任している企業が全体の約7%となっている。

これは純粋にCIOの数ではなく、企業における責任者と認識されているCIOの数となる。日本の大手企業の場合、DXを専門とするCDOよりもCIOが「企業におけるDXの責任者」を担う方が多いということになる。
これについては様々な要因が想定されるが、一定数CIOが企業におけるDXの責任者として推進する企業が存在することが確認出来た。

 

 

3. 「企業におけるDXの責任者」がいる企業の方が外向きの価値創造に注力される傾向にある

「企業におけるDXの責任者」が注力・重視しているテーマについても分析した。企業におけるDXの責任者が設置されている企業では内部(「内部オペレーション(生産・物流・取引)」が35%)よりも「顧客とのコミュニケーションや顧客経験価値」が41%と高い。「製品・サービスの開発」(18%)も合わせると、企業におけるDXの責任者が設置された企業のDXは多くは内部よりも外部への意識が高いと解釈することができる。

 

 

4. 「企業におけるDXの責任者」がいる企業の方が組織的連携やガバナンスが整備される傾向にある

本調査では、「企業におけるDXの責任者」が設置されている企業とそうでない企業によって、DXの諸要素にどのような差が生じるかを分析した。調査全体で様々な項目で検証しているが、代表的な違いとして企業におけるDXの責任者の有無は「DXガバナンス整備」に大きく影響していることが確認できた。

DXでは様々な組織や部署・事業が相互に連携することが重要になるが、その「役割と連携」ならびに「全社DX戦略のマネジメント体制」ではDXの責任者の有無が大きく差が出ていることが確認できた。

また、グラフは省略するが、同様に「DX戦略の浸透・理解」の強化に影響を与えていることも確認出来た。「企業におけるDXの責任者」がいる(明確になっている)企業では、そうでない企業と比較して社内でのDX戦略の浸透・理解がそうでない企業と比べて進む傾向が確認できた。組織全体の取り組みにDXを昇華していくためには、「企業におけるDXの責任者」の設置は必要条件である点が本調査から考察できる。

 

 

5. 「企業におけるDXの責任者」がいる企業の中でも、特にCDO(最高デジタル責任者)がいる企業の方がDXに対する活動成果が高まる傾向にある

また本調査では、「企業におけるDXの責任者」が設置されている中でもCDOとしてDXに取り組む企業と、CIOが兼務する企業と、それ以外のDXの責任者とで、どのような差が生じるかについても分析した。

参考として項目4と同様な項目で検証した結果、CDOが明確になっている企業が他のCIOが兼務の場合,あるいはDXの責任者全体の平均よりも、「役割と連携」ならびに「全社DX戦略のマネジメント体制」で優位な結果になることが確認出来た。

企業にとってのCDOの明確な採用と配置は、会社の戦略・方針としての意思が明確に表現される事項として組織的にも戦略的にもDXを前に進める要因となっていることが本調査で確認出来た。

 

 

今回の調査をうけて

今回の調査では、アンケート形式の調査だけでなく、個別のCDOからインタビュー調査も同時に実施することで調査項目を国内の実際のDXの取り組みに一致させて調査を実施したが、インタビュー調査では、本リリースで記載した項目以外にも有用なインサイトが得られている。

例を記載すると、先進的にDXを推進しているCDO(Chief Digital Officer)は、狭い意味でのDXに限らず、テクノロジーの応用以上に、ビジネスや組織そして人材に関するトランスフォーメーションに従事していることが今回の調査では明らかになった。

またCDOの中でも、経営役員会議(取締役会)参加の役割を持つCDOにおいては、DXを推進するだけでなく、最終的な企業変革や成長につながっていることに対する明確なミッションをもって取り組んでいることが注目されるべき事項となっている。

一方で日本の大手企業におけるCDOの設置状況は、Chief Data Officerを合わせても5%未満である、これは米国、英国、ドイツに比べても大幅に低い結果となっており、日本におけるDXの遅れの原因の一つはCDOあるいはDXを推進できる責任者クラスの人材の不在が原因の一旦であると推測される。

今回調査でも明確になった点としては、DXはその推進について組織内で明確にコミットする責任者がいる場合といない場合とで結果が異なることである。また更にCDOとして明確に経営執行職として推進する役割がいる場合がよりその活動が加速することが明確になったことが重要と考える。

現在、もしくはこれからDXに取り組むことを検討する企業・組織・団体は、「企業におけるDXの責任者」を設置することをまずの一歩として進めるべきである。

この報告書が、企業で積極的にDX を推進しようとする企業に参考になれば何よりだ。今回の調査が CDO の普及と活躍、そして企業の競争力や持続性につながればと思っている。

 

調査監修・協力企業

監修・調査実施
神岡太郎 一橋大学教授(一般社団法人 CDO Club Japan 顧問) 一般社団法人 CDO Club Japan 理事一同

協力・協賛
Sansan株式会社
オープンテキスト株式会社 Snowflake株式会社
Okta Japan株式会社
アドビ株式会社

 

本調査内容に対する問い合わせ

一般社団法人 CDO Club Japan 事務局
webmaster@cdoclub.jp

 

 

 

 

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