<2021年国内におけるCDO(最高データ責任者)の設置状況調査>役員レベルで採用する企業は 3.3%に留まる

公開日:

発信元:一般社団法人CDO Club Japan
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報道関係各位
2022年1月31日

グローバルで DX に取り組み経営執行職のである CDO(最高デジタル・データ責任者)のコミュニティを運営する CDO Club Japan は日本国内での DX とデータ活用状況を把握するために、CDO Club Japan の会員ならびに一般の一部上場企業を対象に「CDO:最高データ責任者の設置状況ならびにデータ活用・ガバナンスに対する状況」に関する実態調査」を実施しました。

 

主な調査結果:総括

  1. 専任の最高データ責任者を採用している企業が 16%、兼任の最高責任者を採用している企業が 26%
  2. 専任の最高データ責任者が Chief Data Officer というタイトルで認識されているのは8.6%(役員 3.3%が、本部長・部長 5.3%)
  3. 最高データ責任者(専任・兼任)が経験した専門領域については(複数回 答)、IT (31.3%)が最も多く、データ活用・分析 (28.1%)と営業・マーケティング (21.9%)がそれに続く
  4. 最高データ責任者(専任・兼任)が重視する役割としては「データ・情報活用戦略の策定(76.6%)」「データ・ガバナンス、コンプライアンスの策定(57.8%)」「データ活用環境の整備(51.6%)

 

調査概要

調査期間:2021年6月~9月
調査方法:調査票(アンケート)送付による回答ならびに個別の電話調査
調査対象:CDO Club Japan 会員ならびに一部上場企業のDX 担当部署(有効回答数152)

※本調査内容の作成・結果考察にあたり、データ活用に先進的に取り組む CDO Club Japan 参加者に対して個別インタビュー調査を行い、データ活用のテーマや論点について考察した。

 

 

調査結果詳細

1.  専任の最高データ責任者を採用している企業が 16%、兼任の最高データ責任者を採用している企業が 26%

最高データ責任者について、「専任」者がいる企業が 16%、他の役職と「兼任」されている企業が 26%、「決まっていない」企業が 58%という結果となった。大多数の企業において、誰がデータの最高責任者かが決まっていないという点は気になるが、16%の企業において専任の最高データ責任者がいるということも注目される。

 

2. 専任の最高データ責任者が Chief Data Officer というタイトルで認識されているのは8.6%(役員 3.3%が、本部長・部長 5.3%)

最高データ責任者が「専任」の場合についてみていくと、Chief Data Officer が 8.6%、その内 3.3%が役員、5.3%が本部長・部長(本部長と部長)という結果となった。そのタイトルが公式なのか非公式なのかは区別されていないが、少なくとも専任の Chief Data Officer として認識されている責任者がいる企業が 8.6%あるという結果が得られたことは有意義であった。一方、その他が 7.9%あるということは、Chief Data Officer という名称が 2021 年時点ではそれほど普及していないとも解釈できる。

 

3. 最高データ責任者(専任・兼任)が経験した専門領域については(複数回答)、IT (31.3%)が最も多く、データ活用・分析 28.1%と営業・マーケティング 21.9%がそれに続く

最高データ責任者(専任・兼任)について、どのようなバックグラウンドの人材が担当しているかについて も調査した。結果としては他社から登用される場合は圧倒的に、「データ分析」や「IT」関係の経験を有しているものが登用されている傾向がある。一方、社内登用では「研究開発」「生産」などの実際の業務に近い領域の経験者が担当するという傾向が強くなっている。

 

4. 最高データ責任者(専任・兼任)が重視する役割としては「データ・情報活用戦略の策定(76.6%)」「データ・ガバナンス、コンプライアンスの策定(57.8%)」「データ活用環境の整備(51.6%) 

最高データ責任者が決まっている(「専任」「兼任」)64 件のケースに関して、最高データ責任者が重視している役割について調査した結果としては、最も多く選択されたものから列挙すると、「データ・情報活用戦略の策定(76.6%)」「データ・ガバナンス、コンプライアンスの策定(57.8%)」「データ活用環境の整備(51.6%)」となり、それに「データ活用によるイノベーションの推進(46.9%)」「データセキュリティ(45.3%)」「データ利活用人材の育成・向上(43.75%)」が続く。

戦略立案は当然として、データ・ガバナンス、データ活用環境、人材育成については、インタビュー調査の結果と一貫している。データセキュリティも昨今の企業環境を考えると納得がいく。イノベーションについての選択率が高いのは注目するべきかもしれない。これらの結果は最高データ責任者という立場から考えると、戦略的に重視していうことで、実際に現場までそれが浸透しているかは別になるという点は注意しておくべきだろう。

 

個別インタビューで確認した先進企業の CDO の取組みテーマ

経営レベルで取り組む先行企業は、データ駆動型経営にむけた「データ環境整備」に同時進行で取り組んでいる

今回の調査では、CDO Club Japan 参加社 の中で特にデータ活用分野に注力しているCDO に、現在の取り組み状況のアリングを実施した。今回個別調査に協力いただいた CDO は以下の通り。

 

個別インタビューを実施した CDO

・北川 拓也氏(楽天株式会社 常務執行役員テクノロジーディビジョン CDO)
・関  知道氏(東京電力ホールディングス株式会社常務執行役)
・大槻 昌彦氏(第一三共株式会社専務執行役員 DX 推進本部長)
・櫻井 貴之氏(株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役員 CDO 兼経営情報統括部長)
・中山 雄大氏(イオン株式会社データイノベーションセンター チーフデータオフィサー)

 

特に今回インタビューした 5 人の最高データ責任者が共通して重視しているのは「データ・プラットフォームの整備」「データ・ガバナンスの確立」「戦略的データ活用の推進・支援」「データ活用人材の育成・獲得」「データ駆動型企業の実現」の 5 つだ。最高データ責任者がフォーカスする役割のウェイトは「データ・プラットフォームの整備」「データ・ガバナンスの確立」から、「戦略的データ活用の推進・支援」「データ活用人 材の育成・獲得」している。そしてその向かう方向に「データ駆動型企業の実現」がある。また従来型企業 4 社に共通する点として「DX およびIT 変革との連動」があげられる。

 

今回の調査をうけて

我々がコロナ禍で経験したことは、データ活用能力がサービスの評価に直接影響するということと、その活用能力に関して日本は他の先進国に比べて遅れを取っているということだ。これからますますデータ活用能力が、企業や政府や社会の競争力や持続性において重要になってくることは容易に想像できる。

しかし、それは単純にデータサイエンティスト数の数を増やせばいいという問題だけではない。組織や仕組みそして組織の全構成員の問題である。組織としては、お金や人に匹敵するデータという重要なアセットを扱うための責任者が必要だと考えるのが自然だろう。

米国では Chief Data Officer の数が爆発的に増えている。大手企業の半数以上がそのポジションを採用しているというのは、ブームというより、今日の組織が活動する前提となっているように見える。米国側からすると、日本では Chief Data Officer がいなくて、どうやってビジネスが行えるのかと質問されそうだ。

日本ではこれまで、その Chief Data Officer あるいは最高データ責任者の実態がほとんどつかめていなかった。今回の調査で制約はあるものの、その実態を把握する一歩となったように思われる。Chief Data Officer の採用はまだ初期段階で数は限られているが、日本企業においても役員レベルで 3.3% の企業が採用している等の実態がつかめた。

その先行している企業の Chief Data Officer あるいは最高データ責任者は、戦略に基づいて、データ・ガバナンスやデータ・プラットフォームの構築等にフォーカスしている。今後はその役割は継続しながらも、より戦略的なデータ活用の推進にシフトしていくものと考えられる。また、専門人材だけでなく、全社の人材育成にも関わろうとしている点にも注目したい。

CDO Club Japan では、様々な CDO (Chief Data/Digital/ Design/Development/--- Officer)の普 及・交流を大きな目的としている。今日、超大手企業を中心に Chief Digital Officer がある程度普及してきたということもあり、今後は Chief Data / Digital Officer の普及に力を入れていきたいと考えている。この報告書が、企業で積極的にデータ活用そして DX を推進しようとする企業に参考になれば何よりだ。それが CDO の普及と活躍、そして企業の競争力や持続性につながればと思っている。

 

調査監修・協力企業

監修・調査実施
神岡太郎 一橋大学教授(一般社団法人 CDO Club Japan 顧問)
一般社団法人 CDO Club Japan 理事一同

協力・協賛
デル・テクノロジーズ株式会社
クリックテック・ジャパン株式会社
Tableau(Salesforce グループ)
Snowflake 株式会社
インフォマティカ・ジャパン株式会社

 

 

本プレスリリースに対するお問い合わせ

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